先日、子どもたちと図書館に行ったとき、小学1年生の娘が「読んで」と言った絵本がありました。
娘はふだんは特別本好きというわけではなく、どちらかというと絵を描いたり、自分でお話を作る方が好きな子なので、へ~珍しいなと感じたんですね。
その、珍しく読んでと言ってきた本が「ちょっとだけ」という絵本でした。
3歳でお姉ちゃんになった娘と、絵本の女の子
この絵本は、下に赤ちゃんが生まれた小さい女の子のお話です。
女の子は2歳か3歳くらいで、ちょうど娘に下の弟が生まれたときと同じくらいでした。
女の子には、赤ちゃんが生まれたことによってさまざまな「ちょっとした」変化が訪れます。
お買い物に行ったとき、いつもならお母さんと手を繋いでいたのに赤ちゃんを抱っこしているのでできなくて、「ちょっとだけ」お母さんの服の裾をつまんだり。
喉が渇いているので自分で「ちょっとだけ」牛乳をコップに注いでみたり。
公園にひとりで向かって、いつもならお母さんが押してくれるブランコにひとりで乗ってみたり。
小さいながらに「なんとかしなきゃ」と頑張る女の子の姿がいじらしいくらいに登場します。
この絵本を読みながら、私の声はだんだん涙声になってしまいました。
絵本の女の子と、当時3歳でお姉ちゃんになった娘の姿がダブって見えてきたからです。
ふと娘を見ると、目に涙をいっぱいためていました。
絵本の最後、女の子がお母さんに
「いっぱい抱っこしたいんですけど、いいですか?」
と聞かれて笑顔になるシーンで、思わず娘をぎゅ~っと抱きしめてしまいました。
小学1年生の娘は、身体も大きくなったし図書館でそんなことをされてきっと恥ずかしかったでしょう。
でも、そのまま抱っこさせてくれました。
そのとき、たぶん、私と娘は同じ気持ちでいたと勝手に思っています。
こうだったね そうだったよね 随分小さかったね 小さかったのに、がんばったね
「この子、お母さんに抱っこしてもらえて良かったね」
ぽつりと娘がつぶやいたこの言葉が、私はとても…とても心に響きました。
ああ、本当にね。お母さんも、たくさん抱っこしたかったんだよね。そうだったんだよ。
ある、クリスマスの朝に
私は子どもが2人いるのですが、下の子が生まれてからちょっと気になっていたことがありました。
上の子(娘)のことを、ちゃんと沢山抱っこ出来ていたのだろうか?ということです。
娘はちょうど3歳でお姉ちゃんになりました。
当時は3歳になったんだから、もうだいぶ大きくなったなぁと思っていました。
娘は親の私から見てもとても優しい子で、下の弟のことも赤ちゃんのころからとってもかわいがっていて、いまでも仲良しです。
下の子は甘えん坊で、4歳になったいまでも朝ごはんは私の膝の上で食べるし、何かというとすぐに私の膝に乗ってテレビを見たり、おやつを食べたりしています。
それを思うと、当時の娘は相当頑張ったんだろうな、という思いに駆られるのです、どうしても。
上のお姉ちゃんは、いつから私の膝に乗らなくなったのだろう…。
やっぱり弟が生まれてから、なんだと思います。
もっと早くに兄弟が出来る子もいるし、私なんかも兄弟が多くて(4人兄弟の3番目)それでなくてもぐちゃぐちゃと育てられたので色々ですけど。
それでももっとゆっくり、娘と向き合う時間を取ってあげれば、もっと抱っこしてあげればよかった、とずっと思っていたんです。
話は変わりますが。
このあいだ、何となく昔取った動画を見ていたら、娘がちょうど4歳のクリスマスの朝に撮った動画が出てきました。
クリスマスの朝、子どもたちがプレゼントを見てどんな反応するか、旦那さんがワクワクしながら撮っていたんですよね。
すると、よちよち歩きの赤ちゃんだった息子は真っ先にプレゼントに向かい、まだ寝ぼけていたような娘は、いつものことのように、本当にナチュラルに私の膝に座っていた光景が記録されていました。
私、その動画見て思い出したんですよね。
娘の体温とか、重さとか、匂いとか。全部全部、思い出したんですよね。
なんか、そんなに前のことじゃないのに、子どもたちの成長が早くて追いつけなくて、何もかも忘れそうになるけど。
ああ、私抱っこしてるじゃん。
あんなにナチュラルに、いつものことのように抱っこしてるじゃん、て、なんか分かんないんですけど、泣きそうになりました。
ありのままがそこにある絵本はステキだな
すみません、なんだか話が飛んでしまうのですが。
「ちょっとだけ」という絵本を小学1年生の娘と読んで、当時3歳だった娘を、娘と一緒に思い出すというか、思いやるというか。
いまの娘と一緒に、3歳だった娘の頭をなでてあげたい、抱きしめてあげたい、そんな思いになりました。
3歳なんて赤ちゃんですよね。
赤ちゃんが、お姉ちゃんになろうとして自分なりに我慢したり、頑張ってできることが増えて嬉しかったり、やっぱり寂しかったりするんです。
でも、これを成長の物語にしない、きれいごとにしないこの絵本にとても胸を打たれました。
ありのまま、子どもの目線でありのままを描いているからこそ、私は泣いてしまったんだと思います。
当時の娘の目線を、そのまま読んだ気持ちになったから。
そして、娘もそれを感じたのかも知れません。
当時の娘はもう抱きしめてあげられないけど、今のこのお嬢さんはいっぱい抱きしめてあげられるなぁ、なんて。
人前では恥ずかしい年頃だけど、今でも私が「よいしょっ」と抱っこすると、
まだ抱っこできるんだね?まだ大丈夫なんだね?
と涙目になってしまうお嬢さんがここにいてくれます。
それで何かが報われるとか、あの頃の気持ちが回収できたとかそんなことではないのですが。
でも、抱っこさせてもらえる限りは、抱っこしたいな、と思っているのです。
やはり、子どもの目線になっている絵本って素晴らしいな。
この絵本がロングセラーなのも分かりますね。
優しいし、あったかいし、何より子どもに寄り添っている。
絵本って、良い絵本ってそうなんですよね。
長くなりましたね。今日はこのあたりで終わりにします。